日本の高エネルギー物理学研究者が参加しているプロジェクトを紹介します。

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ATLAS CERNに建設された、世界最高エネルギーの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使った陽子・陽子衝突実験です。2010年から本格稼働し、2010-2011(7TeV),2012(8TeV)の3年間、データ収集を行いました。質量126GeVの新粒子を発見し2012年7月に発表、2013年春にはこの新粒子がヒッグス粒子であることを確認しました。加速器・検出器の高度化の後、2015年からは設計値14(13)TeVで運転を再開します。ヒッグス粒子の精密測定、超対称性粒子・余剰次元探索などを通じて、標準模型を超える物理を発見することを主目的としています。

Belle/Belle II KEKで行われている、世界最高ルミノシティ(強度)の電子・陽電子衝突型加速器KEKBで大量に作りだしたB中間子の崩壊を研究する実験。2010年までデータ収集を行った Belle 実験は、B中間子系でのCP対称性の破れ(物質と反物質の非対称性)を発見し、小林益川理論の検証を行いました。現在、ルミノシティを40倍にアップグレードした SuperKEKB 加速器を用い、標準模型を超える新物理の解明を目指す Belle II 実験が準備中です。

CDF トップクォーク、ヒッグス粒子や超対称性粒子の探索を主目的として、Fermilabで1985年から2011年まで稼働した重心系衝突エネルギー(2 TeV)のTevatron加速器を使った陽子・反陽子衝突実験です。1994年にトップクォークを発見しました。他にBc中間子発見(1998年)、Bs中間子振動の初観測(2006年)等の成果があります。

OPERA CERNからイタリアのグランサッソまでミューニュートリノを約730km飛行させ、原子核乾板を用いた大型検出装置によって、タウニュートリノへのニュートリノ振動を出現モードで検出、検証する国際共同実験です。

Double Chooz Chooz原子力発電所において原子炉ニュートリノを観測し、ニュートリノ振動の研究をする実験です。2011年に実験を開始しました。

Super-Kamiokande 神岡鉱山の地下に設置された総質量50,000トンの水チェレンコフ検出器を使って,陽子崩壊の探索や宇宙から飛来するニュートリノの観測を行っています。T2K実験の主検出器としての役割も担っています。

Hyper-Kamiokande 神岡鉱山の地下にSuper-Kamiokandeの20倍,総質量100万トンの水チェレンコフ検出器を新たに建設し,ニュートリノ振動を通した新たな物質と反物質の非対称性の探索,陽子崩壊の探索,宇宙からのニュートリノの観測等を行う計画です。

T2K 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCの30GeV陽子ビームによって大強度ニュートリノビームを作り、295km離れた神岡のSuper-Kamiokandeに打ち込み、ニュートリノの謎を解明する実験です。

KamLAND/KamLAND-Zen 1000トンの液体シンチレータで反ニュートリノを観測し、ニュートリノ振動や地球内部・天体現象を研究します。また、極低放射能環境を活用して、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索を皮切りに多様な宇宙・素粒子研究に挑みます。

JSNS2実験 J-PARC MLF水銀標的内で大量に発生するμの静止崩壊で生成する反ミューニュートリノを使用したステライルニュートリノ探索実験です。μ粒子の寿命よりも十分短いパルス状の陽子ビームとGdを使った液体シンチレータを50トン使い、反電子ニュートリノへの振動現象を探索し、世界最高の感度を目指します。

SPAN 原子を用いたニュートリノ質量分光計画(SPectroscopy with Atomic Neutrino)は質量絶対値やCP位相などニュートリノの未確定パラメーターを包括的に決定することを目指しています。この目的の実現には非常に稀な現象を加速する「マクロコヒーラント増幅」が重要です。最近二光子過程を用いてこの増幅過程の根幹部を実証することに成功しました。今後は光子を伴うニュートリノ対放出過程の検出を目指します。

ILC 約1TeVまでの直線型衝突加速器をつくり、ヒッグス粒子やトップクォークの詳細な研究や超対称性粒子などの発見をめざす実験計画です。その規模の大きさから、世界48カ国の参加する国際協力で、加速器と測定器の研究開発と、物理実験の検討が推進されています。現在の最有力建設候補地は、日本(北上山地)となっています。

KOTO 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCの遅い取り出しビームで大量の中性K中間子をつくり、物質と反物質の対称性を破る稀な崩壊現象を測定して、素粒子の標準模型の検証ととともにその崩壊でしか検出できない未知の物理法則の発見を目指す実験です。

CMB 宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background、略してCMB)の偏光を測定することにより、熱いビッグバン以前の宇宙で生成されたとされる原始重力波を検出し、背後にあるインフレーション理論や量子重力理論を探ります。

MEG / MEG II PSIの世界最高強度ミュー粒子ビームとこれまでにない高性能測定器を用いてミュー粒子の稀崩壊現象を世界最高感度で探索、超対称大統一理論やニュートリノ質量の謎に迫る実験です。現在、究極感度のアップグレード実験MEG IIを準備中です。

COMET 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて、荷電レプトンフレーバー非保存過程であるミューオン電子転換過程を探索する実験です。現在の上限値を10000倍以上に上回る10^{-16}の実験感度を目指しています。

DeeMe 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCで、RCSからの大強度高純度パルス陽子ビームを使って陽子標的中に大量のミューオン原子を生成し、このミューオン原子で起こる稀な現象を通して素粒子の標準理論を超えた新しい現象を探索する実験です。

g-2/EDM 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCで極冷ミューオンビームを作り、超精密磁場中でミューオン異常磁気能率および電気双極子能率を精密測定することにより、標準模型を超える物理現象を探索する実験です。

中性子基礎物理 先進光学デバイスにより中性子を制御し、β崩壊や電気双極子モーメント、短距離相互作用などの精密測定によって素粒子標準理論を超える物理を探る実験です。

ALICE CERNにある世界最高エネルギーの大型ハドロン衝突装置LHCを使って原子核同士を衝突させ、陽子などの内部にある素粒子(クォーク、グルーオン)が主役として振舞う、宇宙誕生直後に存在した超高温物質相を研究する実験です。

PHENIX(HI, spin) BNLにある高エネルギー重イオン衝突装置RHICを用いた実験です。HI実験は超高密度の原子核状態を、spin実験はクォークやグルーオンのスピン状態を研究しています。

Fermi-LAT フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡。日本が開発したシリコンストリップ1万枚を主要検出器とする宇宙GeVガンマ線検出器で、人工衛星に搭載されて、2008 年から観測を開始しています。従来のガンマ線観測衛星の数十倍の良い感度を持ち、3000を超える多数の天体の発見、暗黒物質からのガンマ線の探査を行なっています。この他、宇宙高エネルギー粒子の加速の解明や加速器の探査、ブラックホールからの相対論的ジェットの観測、宇宙一の大爆発であるガンマ線バーストの観測、宇宙初期磁場の制限などでも成果を出しています。

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