ビームキャリブレーション用偏光度検出器


以下の左図は、山形大学で開発された散乱型の偏光度検出器です。 この検出器の中心には、X線を散乱させやすいポリプロピレン等の ターゲットが置かれており、その周りには2つのCdTe検出器が 置かれています。CdTe検出器は、散乱されたX線を検出するための もので、ターゲットの周りを回転できるようになっています。 散乱体とCdTeの吸収体が離れているため、 散乱されたX線に対する検出効率は低いのですが、偏光感度は非常に 高い検出器になっています。 また右図は、偏光した入射ビームを検出器に照射した際に取られた図です。 横軸はCdTe検出器の回転角、縦軸はCdTeで取得した X線の数を表しています。カウント数のモジュレーションが はっきり現れているのが分かると思います。この様なデータから、 入射ビームの偏光度と偏光方向を調べることができます。

MAPMTを使用した偏光度検出器


次の検出器もX線の偏光度をコンプトン散乱の原理を使って 測定するものですが、この検出器は天体観測用に開発されています。 この検出器は、セグメント化されたプラスチックシンチレーターと CsI(Tl)シンチレーターが64チャンネルのアノードを持つ MAPMT検出器の上に置かれています。 入射X線はプラスチックシンチレーターで散乱され、散乱された X線はCsI(Tl)検出器により、光電吸収をします。 散乱された場所と吸収された場所を同定することで、X線が どちら方向に散乱されたかを測定することができる検出器に なっています。この様な検出器を多数並べることで、大面積かつ 偏光感度の高い検出器が製作できます。