山形大学で開発された検出器


以下の図は、山形大学で開発された光電吸収型の偏光度検出器です。 この検出器は、CGPC(Capillary Gas Proportional Counter)と レンズ系とIICCD(Image Intensified CCDカメラ)の3つからできています。
この検出器のCGPCの部分にはキャピラリープレートと呼ばれる 検出器が使用されていますが、これは直径0.1mm、高さ 0.8mmほどの毛細管を数万本束ねたもので、直径が2cm程度の 板状の検出器です。この両面には金属が蒸着されており、 電圧を印可できるようになっています。CGPCの中には、 希ガスを主にした混合ガス(Ar+CH4+TMA)が 封入されているため、この毛細管は独立した比例計数管として 働くことになります。
この検出器にX線が入射すると、X線は光電吸収を起こし、 光電吸収により射出された一次電子は、飛跡に沿ってガスを電離し、 電子雲を形成します。この電子雲をキャピラリープレート上面まで ドリフトさせて、電子雲を毛細管の中に引き込みます。 毛細管の中では電子増殖が起こると同時に、励起発光現象が 起こり、電子が入射した毛細管からは、光が出てきます。 この光はレンズ系で集光されて、IICCD面に集まり、電子雲の 形が撮像されます。 以下の図は、22keVのX線を検出器に照射した際のIICCDでの画像です。 これは1発のX線が作った電子雲に対応しています。この電子雲の イメージから、一次電子の射出方向を同定して、入射X線の 偏光方向を得るというのが、この検出器の原理です。 我々の検出器は主に20keVから30keV程度に感度があります。

Costa達(Italy)によって開発された検出器


Costa達も独立に同様の原理を使用した検出器を製作しています。 この検出器に関しては、 このページが 参考になります。 彼らの検出器は、ガスとしてネオンを使用しているため、 主に10keVまでのX線領域に感度があります。 また電子雲の撮像に関しては、光を使うのではなく、ガス増殖で生じた 電子を直にピクセル検出器で収集するタイプになっています。 またガス増殖を起こさせるために、GEM(Gas Electron Multiplier)という 新しい検出器を使用しています。